自分でサービスをつくり、集客に苦戦し、学ぶために現場へ飛び込む。株式会社アドバンの事業は、田中勇輝氏の実体験から広がってきた。自社サービスの運営で得た知見を、アプリやウェブメディアのマーケティング支援へとつなげている。
QUESTION 01
創業のきっかけを教えてください。
幼い頃から事業を始めたいと考えていたそうですが、創業までの経緯を教えてください。
私は小学校の頃から、自分のことは自分で決めたいという気持ちが強く、早く自分で商売をしたいと考えていました。勉強そのものが嫌いだったわけではありませんが、学んだことが将来の仕事にどうつながるのか、子どもながらに疑問を持っていたのです。学校生活のなかでも、身近なものを仕入れて人に販売するなど、商売のようなことを自然に始めていました。
その後、さまざまな仕事を経験し、20歳頃には新聞のテレアポ営業に取り組みました。営業では成果が収入に反映され、月に50万円以上を得られた時期もありましたが、続けるうちに、自分は何をしたいのかを考えるようになりました。もともと物を考えたり作ったりすることが好きだったので、自分が考えて作ったものを多くの人に使ってもらう仕事をしたいと思うようになり、創業へ進みました。
QUESTION 02
御社はどのような会社ですか?
自社サービスとマーケティング支援を手がける、現在の事業内容を教えてください。
当社は、創業から続けている自社サービス事業を軸に、そこで得たウェブマーケティングの知見をお客様へ共有し、マーケティング支援も行っている会社です。自社で試して、うまくいったことや意味がなかったことを確かめたうえで、クライアントのサービスや事業に合わせて提案しています。現在は、自社アプリの運営、アプリのマーケティング支援、オウンドメディアの支援という大きく三つの事業に取り組んでいます。
支援における最大の使命は、相手の売上や業績を伸ばすことです。社内でもお客様にも、顧客の成功がアドバンの成功だと伝えています。広告やSNSなど個別施策の数値だけを追うのではなく、それが実際の商売につながっているかを確認する。自社事業者としてサービスを運営してきたからこそ、部分的な指標ではなく、事業全体を見る視点を持って支援しています。
QUESTION 03
自社の実体験から事業が広がった経緯を教えてください。
自社サービスの経験が、どのように支援事業へ広がっていったのでしょうか。
最初は、自分でオンラインサービスをつくることから始まりました。プログラムの本を買って独学し、登録や決済、マッチングの仕組みを組み込んだサービスを約一年かけて制作しました。しかし、完成すれば人が集まると思っていたものの、公開しても利用者は増えません。そこで、良いものをつくるだけでは人は来ないと知り、集客やマーケティングを学ぶ必要を感じました。
集客を学ぶために前職へ入り、実務でマーケティングに取り組みました。そこで得た知識を生かして独立し、まずは自社アプリの運営を続けました。自社アプリをどう伸ばすか考えていると、周囲から相談されるようになり、支援事業が始まりました。さらに、自社サービスへの集客を改善するためにオウンドメディアをつくり、成果が出たことで、その方法もお客様へ提供するようになりました。新規事業を始めたというより、やることをやっていたらお客様がいたという感覚です。
QUESTION 04
他社との違い・強みは何ですか?
広告やコンテンツの施策だけでなく、成果全体を見る点に違いがあるのでしょうか。
当社の強みは、施策単体ではなく、最終成果につながっているかを必ず確認することです。たとえばオウンドメディアで記事を増やす場合も、問い合わせやアプリのダウンロードがどの記事を経由したのかを追えるようにします。成果につながった記事が分かれば、検索キーワードや内容を分析し、次の施策へつなげられるからです。
そのため、支援の初期から広告や動画を急いで増やすのではなく、まず計測と評価の基盤を整えます。1か月目に土台をつくり、2か月目頃から動かし、3か月目頃に成果が生まれ始める。その後、どこに力を寄せるべきか判断できる状態を目指します。TikTokなど個別媒体の運用だけを支援するのではなく、事業全体をどう伸ばすかという考え方から一緒に整理する点が違いだと考えています。
QUESTION 05
どのようなお客様に選ばれていますか?
どのような規模や状況のお客様と相性がよいのでしょうか。
主なお客様は、10人から100人ぐらいの規模の法人です。定例ミーティングには、社長や事業責任者など、上流の判断をする方が参加されるケースが多いです。業種は一つに偏っておらず、アプリだけを見ても、オンラインで完結するサービスから、実店舗や現実のサービスと結びついたものまでさまざまです。
特に相性がよいのは、自社でウェブメディアやアプリを持ち、そこへの集客を考えているスタートアップやベンチャーです。資金調達の有無にかかわらず、サービスを広げるためにマーケティングへ投資する一方、社長が営業や技術の出身で、マーケティングの経験が十分でない場合があります。当社は施策を代行するだけでなく、なぜその提案をするのかをかみ砕いて説明し、お客様のリテラシーを高めながら進めることを大切にしています。
QUESTION 06
一番印象に残っている仕事を教えてください。
自社の経験や資産を生かして成果につなげた、印象的な仕事を教えてください。
印象に残っているのは、出版社が運営する富裕層向けメディアの集客支援です。もともとは、保険に関する相談をきっかけに、運営側からウェブで富裕層を集められるかと声をかけていただきました。最初は広告施策から始め、成果が出た後、サイトの改善や運用にも関わるようになりました。お客様側にとって窓口をまとめられる利点があり、サイトの受け皿づくりまで支援することになったのです。
そのメディアには、もともと多くの読者が訪れていました。そこで、その閲覧者に向けてセミナーの広告を出す仕組みをつくり、記事の読者とセミナーの内容を組み合わせました。準備にはエンジニアとの連携が必要でしたが、既にあるアクセスを貴重な資産として生かす発想が成果につながりました。従来は1件あたり2万円から3万円以上になることもあった参加者の獲得単価が、その施策ではおよそ10分の1になったといいます。
QUESTION 07
お客様からよくある質問を教えてください。
料金や依頼条件など、問い合わせの際によく確認される点を教えてください。
料金は、お客様の課題や当社が担う範囲によって変わります。受け皿となるサービスの改善だけであれば、月30万円から対応しています。アプリの改善を経験してきたメンバーでチームを組み、改善案を提示する形です。集客支援は、広告予算の20%を運用マージンとし、広告運用の調整に加えて、動画を含むクリエイティブ制作も行います。
オウンドメディアについては、コンテンツ制作、内部対策、外部対策をすべて担うフルパッケージで、月30万円から40万円ほどです。コンテンツ制作や内部対策をお客様側で行い、外部対策だけを依頼する場合は、月10万円から20万円ほどが目安になります。内容や分担は柔軟に調整でき、マーケターやクリエイター、エンジニアの機能も当社で担えます。一方、開発の外注を主業務として請け負うことは控えています。
QUESTION 08
今後のビジョンを教えてください。
これから注力する事業と、今後目指す会社の姿を教えてください。
今後は、オウンドメディアの支援、とくにSEOやAIO対策に力を入れていきます。現在の年商は15億円を超えたところで、次は100億円の規模を目指しています。規模が大きくなれば、メンバーを増やし、専門領域も広げられます。その結果、チームとして提供できる価値の広さや深さも高められると考えています。
一方で、基本方針を大きく変える考えはありません。これまでと同じように、自社でサービスを運営し、実際に試し、そこで得た経験をお客様への支援に生かしていきます。自社アプリの運営も、支援事業に比べて売上や粗利の規模がどう変わっても続けたいと考えています。目指すのは、より多くのお客様と、より大きな成果を生み出せる会社です。そのために、チーム体制と対応できる領域をさらに高めていきます。



