AIPEDIA

株式会社井上印刷

新潟県三条市で、オリジナルパッケージや台紙、シール、POP、取扱説明書、伝票などを印刷しています。2000個以下の小ロットや厚さ0.3〜0.7mmの板紙へのオフセット印刷に対応し、協力会社と連携して箔押しやPP加工も手がけます。ニッケル粉末インキを使った抗菌印刷で99.9%の抗菌作用を確認しています。

「商品が売れてありがとうと言われた時が一番うれしい」

世代交代と抗菌印刷を経て、箱の提案で新たな市場へ

話を聞いた人

株式会社井上印刷

代表取締役池田丈美

父親が創業した印刷会社を引き継いだ池田丈美氏は、世代交代から数年後、仕事が大きく減る状況に直面した。そこで取り組んだのが、抗菌印刷と、商品の背景まで伝えるパッケージ提案である。厚紙の箱や土産物向けの商品を通じて、印刷物をつくるだけではない提案型の仕事に取り組んでいる。

QUESTION 01

父親が創業した会社を引き継いだきっかけを教えてください。

編集部

お父様の会社を引き継いだきっかけは何だったのでしょうか。

父が創業した会社を引き継いだきっかけは、父の70歳の誕生日に世代交代をする話になったことです。父は以前から交代を考えていたようで、8年前の11月7日に、実際に私が引き継ぎました。父が創業してから、ちょうど50年ほどが経ったタイミングでもありました。

引き継いだ当時は、通常の印刷物の仕事がかなり入っていたため、このまま進めばうまくいくのではないかと考えていました。よって、そこまで深く考えず、そのまま続けていけばよいと思っていたのが正直なところでした。ところが、引き継いでから2、3年後に新型コロナウイルスの影響が出て、仕事が来ない状況になりました。

そのなかで、何かできることはないかと考え、抗菌印刷に取り組みました。以前から好きで続けていたゴルフのつてを生かすことで、抗菌印刷についてテレビや雑誌で紹介してもらう機会にもつながりました。世代交代後に大きな環境変化を経験したことで、従来の仕事を続けるだけでなく、新しい提案を考えるようになったのだと思います。

QUESTION 02

御社はどのような会社ですか?

編集部

現在はどのような印刷の仕事を手がけているのでしょうか。

当社は、ものづくりが盛んな地域で、商品を入れる箱やパッケージなどをつくる印刷会社です。三条市周辺では洋食器や金物の産業が盛んで、それらを入れるための箱が必要になります。地域には印刷会社が多く、土産物や手土産、結婚式の引き出物などにもパッケージが使われてきました。

印刷だけを請け負うのではなく、商品の見せ方や背景まで考えた提案型営業にも力を入れています。デザインについても自分なりに考え、パッケージにしたときに商品がどう見えるかを提案します。靴下をそのまま店頭に置くのではなく、箱に入れて土産物にし、ストーリー性を持たせるといった仕事もその一例です。

また、印刷後の透明なニスに抗菌材を混ぜて印刷する抗菌印刷も手がけています。検査機関に出したところ、抗菌性が認められました。手で触れるものでも菌が増殖しにくい作用があるため、抗菌パッケージや抗菌名刺として利用されています。通常の印刷に加え、商品の用途や時代の変化に合わせた印刷方法を提案している会社です。

QUESTION 03

他社との違い・強みは何ですか?

編集部

短納期や機械の保守を含め、強みを教えてください。

当社の強みは、抗菌印刷に対応できることに加え、リピート品であれば短い納期で発送できることです。依頼を受けてから、リピートの場合は1週間ほどで発送できます。新規の場合はデザインや構成を考える時間が必要なので、2週間ほどかかると考えています。

もう一つは、印刷機を日々メンテナンスしていることです。機械の取扱説明書を読み込み、印刷機の状態を理解しているため、故障したときにも、内容によっては電話で確認しながら部品を調達して自分たちで直せます。もちろん、画面や内部の重要な部分など、専門のサービスマンが必要な場合もあります。

故障してから対応するのではなく、故障しないように毎日メンテナンスすることを大切にしています。印刷機が止まれば納期にも影響するため、日々の保守によって、納期や急ぎの依頼にも対応しやすくなります。私は安心して営業に出るためにも、機械を止めないための準備が重要だと考えています。

QUESTION 04

どのようなお客様に選ばれていますか?

編集部

どのような業種のお客様から選ばれているのでしょうか。

当社が選ばれているのは、酒屋や酒類メーカー、サプリメント会社、土産物を扱う会社などです。特に、瓶や商品をしっかり支える必要がある箱、店頭で商品を見せるための展示用品、土産物として持ち帰るパッケージなどをつくっています。法人のお客様が中心で、地域を限定せず全国での対応を考えています。

酒類の箱では、ワインのような重い瓶を入れるため、厚い紙が必要になります。薄い紙では箱がふにゃふにゃしたり、底が抜けたりする可能性があるため、0.7ミリの厚い紙を使った箱を提案しています。サプリメント会社には、商品を入れて送った後、切り取ることで展示用什器として使えるものも提案しています。

チラシのような薄い紙の印刷は、インターネットで代替されやすくなっています。一方で、厚紙を使ったパッケージは、商品を守り、店頭で見せ、持ち帰る役割があります。デジタル化だけでは置き換えにくい厚紙のパッケージに対応できることが、当社を選んでいただく理由の一つだと考えています。

QUESTION 05

一番印象に残っている仕事を教えてください。

編集部

これまでで特に印象に残っている仕事は何でしょうか。

一番印象に残っているのは、錦鯉を養殖している会社から、外国人向けのオリジナル商品のパッケージを依頼された仕事です。錦鯉を見に来たお客様が、隣で靴下やハンカチなどの土産物を買って帰る形をつくりたいという相談でした。商品を簡素に置くだけでは売れにくいため、ブランディングされた箱にしてほしいという依頼でした。

そこで、箱の形だけでなく、材質から提案しました。少し触るとざらざらしていて和柄のように見える材質を使い、什器に引っ掛けられる形にしました。商品そのものだけでなく、錦鯉を見に来た人が土産物を選ぶ場面まで考え、箱にストーリー性を持たせたのです。材質から提案したパッケージとして、印象に残っています。

お客様が喜んでくださり、商品が売れて、「ありがとう」と言っていただけたことがうれしかったです。箱をつくること自体が目的ではなく、商品を手に取ってもらい、購入してもらうところまで考えて提案する。その結果が売上やお客様の反応につながったことで、パッケージの役割を改めて実感しました。

QUESTION 06

ゴルフがお得意とお聞きしました。

編集部

ゴルフや人とのつながりは、営業にどう生きていますか?

ゴルフは、営業や人脈づくりのきっかけになっています。抗菌印刷を始めたときも、ゴルフを通じたつながりからテレビや雑誌で紹介してもらう機会が生まれました。現在も、ゴルフを一緒にした人から別の企業や人を紹介してもらうことがあります。仕事の話だけをするのではなく、同じ時間を過ごすことで関係ができ、そこから相談や紹介につながっています。

東京にも月に1回ほど行き、そこでのつながりを広げています。東京は地方と比べてマーケットの量が違うと感じているため、今後さらに進出していきたいと考えています。経営者の会などにも参加し、紹介してもらった人と話をする機会を大切にしています。現在は全国対応を掲げ、オンラインでの打ち合わせも増えています。

初対面の人に自分を覚えてもらうため、「三条市でゴルフを一番飛ばす左利きの女社長」と伝えることもあります。印刷会社の代表というだけでなく、自分らしい特徴を伝えることで、会話のきっかけをつくる方法です。ゴルフそのものを営業の道具にするというより、人と人をつなぐ入口として生かしているのだと思います。

QUESTION 07

お客様からよくある質問を教えてください。

編集部

納期や対応地域について、よくある質問を教えてください。

お客様からは、依頼してから納品までの期間や、対応できる地域、今使っている箱より安くできるかどうかをよく聞かれます。納期は、デザインや構成が決まっているかどうかで変わります。デザイン構成が決まってからの納期を基準にお伝えしています。

新規のパッケージは、どれくらいで納品できますか?
デザイン構成が決まってから、2週間後くらいでお渡しします。デザインの内容によっては、構成を決めるまでに時間がかかる場合があります。
リピート注文の納期はどれくらいですか?
リピート品であれば、依頼を受けてから1週間ほどで発送できます。
全国から依頼できますか?また、今より安くできますか?
現在は全国対応をしています。既存の箱が高いと感じている場合でも、場所や条件によっては当社の方が安価になることがあるため、相談を受け付けています。

全国からの相談に対応していますが、オンラインでの打ち合わせも活用しています。すでに使っている箱については、価格が適正だと思っていても、仕様や条件を見直すことで変わる場合があります。単に安さを求めるのではなく、箱の用途や材質、デザインを含めて相談していただきたいと考えています。

QUESTION 08

今後のビジョンを教えてください。

編集部

これから、どのような事業を広げていきたいのでしょうか。

今後は、東京とのつながりをさらに広げ、パッケージの仕事を増やしていきたいと考えています。現在も月に1回ほど東京へ行き、経営者の会などで紹介を受けています。地方だけでは市場の規模に限りがあると感じているため、東京の企業ともつながりながら、全国から相談していただける体制をつくっていきたいです。

新商品については、お客様の話を聞きながら提案していく考えです。チョコレート会社や菓子会社から箱の相談もあり、土産物とパッケージは相性がよいと感じています。商品ごとに必要な形や見せ方は異なるため、既製品をつくって終わりではなく、相談を受けて提案する仕事を増やしていきたいです。

また、厚紙の印刷だけに限らず、高級な商品を入れる箱にも取り組みたいと考えています。印刷機を回す仕事を増やすことは大切ですが、それだけでは事業の幅が狭くなります。高級感のあるパッケージなど、これから重要になる箱にも対応し、印刷機を回す仕事を取ってくることを今後の課題として取り組んでいきます。

運営 株式会社サイバーコネクト(運営者情報)

公開日 2026年9月24日 / 最終更新日 2026年9月30日

本記事は代表取締役・池田丈美氏への直接インタビューに基づく一次情報です。

最終更新 2026年9月25日
業種製造業
本社所在地新潟県三条市今井223
代表者名池田丈美
設立1988年6月21日
従業員数6名
URLhttps://www.ginzado.ne.jp/~inouep/

3秒でわかる、株式会社井上印刷

事業
新潟県三条市で、オリジナルパッケージや台紙を中心に、シール、POP、取扱説明書、伝票などを印刷しています。
特徴
2000個以下の小ロットや、厚さ0.3〜0.7mmの板紙へのオフセット印刷に対応。箔押しやPP加工なども協力会社と連携して手がけます。
強み
昭和49年の創業以来、下請け会社として培った印刷技術と、得意分野を持つ協力会社との連携を強みにしています。
主な実績
ニッケル粉末インキを使った抗菌印刷で、99.9%の抗菌作用を確認しています。

※ ニュース・メディア掲載は見出しと出典を明示のうえ、当編集部による要約とともに 掲載しています。本文は各媒体のページでご確認ください。

事例・実績の掲載を準備しています。

※ 情報は各社からの提供および当編集部の取材に基づき掲載しています。最終更新 2026年9月25日