「今日お願いされて、明日行ける」。清掃事業について、腰山勇貴氏はそう話す。依頼に応えるのは、現場のフットワークだけではない。営業未経験のメンバーに営業を任せた経験や、紹介を生むために人と人とのつながりを探した経験も、現在の事業の土台になっている。自分の時間をつくりながら、複数の会社が自走する状態を目指す。その発想の根にあるのは、効率よく仕組みをつくりたいという考えである。
QUESTION 01
創業のきっかけを教えてください。
転職を重ねた先で、起業を選んだ理由は何だったのでしょうか。
私には、これといった一つのきっかけがあったわけではありません。これまでサラリーマンとして3社ぐらいを転々としてきましたが、2、3年やると飽きて、新しいことをしたくなる性格でした。転職を繰り返すのもよくないと思い、それなら自分で仕事をするほうが、好きなことに時間を使えると考えました。起業は、強い動機からというより、消去法で選んだ答えです。
最初の事業に営業を選んだのは、会社員時代からセールスを続けてきたからです。BtoC、BtoBを問わず営業をしてきたなかで、当時は通信業界が入りやすく、始めやすいと感じました。以前、岡山のベンチャーの訪問販売会社で光回線などの通信商材を扱い、ある程度の実績を出せたこともあります。そこから、自分は通信に向いているのではないかと考え、携帯販売を始めました。
QUESTION 02
新規顧客を増やすため、どのような営業をしましたか?
つながりのない状態から、新規顧客をどう増やしていったのでしょうか。
最初は、つてもない状態ですべて新規開拓でした。飛び込み営業やテレアポもしましたが、私が動かなくても仕事が取れる状態が理想だと考えていました。そのために、今までお世話になった人との関係を生かす紹介営業に取り組みました。紹介を受けるには、まず仕事や人の流れを知る必要があります。誰が何をしているのか、誰と誰がつながっているのかという情報を集めました。
特に意識したのは、狙いたい会社へつながるキーマンを見つけることです。x-factorを始めたときは、業界のことも右も左も分からない状態でしたが、1人、2人のキーマンと出会い、その人たちから紹介をいただける関係をつくりました。飲みに出て情報収集をすることもありました。結果として、直接すべての会社へ営業するのではなく、キーマンから広がる営業を形にしていきました。
QUESTION 03
御社はどのような会社ですか?
現在は二つの法人で、どのような事業を展開しているのでしょうか。
当社は、株式会社Out Numberと株式会社x-factorの二つの法人を運営しています。Out Numberでは、携帯販売やコールセンターの受託など、アウトソーシング、BPOの事業を行っています。携帯販売については、広いエリアで協力会社のパートナーからスタッフを預かり、現地の仕事に就けるよう、私たちが間に入ってアサインまで進めています。
x-factorは、清掃を大枠とする会社です。退去修繕、エアコンクリーニングやエアコン洗浄など、綺麗にまつわることなら何でもするという考えで事業を行っています。Out Numberのエリアは福岡から北海道まで、x-factorは広島、山口、岡山で仕事をしています。すべてを自社スタッフだけで担うのではなく、協力会社のスタッフにも現地で働いてもらう仕組みを取っています。
QUESTION 04
他社との違い・強みは何ですか?
二つの会社に共通する強みを、一言で表すと何でしょうか。
二つの会社に共通する強みは、ベンチャーならではのフットワークの軽さです。事業を進めるなかでは、状況に応じて判断し、すぐに動かなければならない場面があります。私が両社の代表を務めているため、相談や判断が何段階も先に進まなければ決まらないということが少なく、私の意思決定で大体のことを決められます。
意思決定の早さは、携帯販売と清掃という異なる事業にも共通しています。依頼内容や人員の状況を見ながら、どう対応するかを早く決めることができます。もちろん、早く決めるだけでは足りませんが、変化に合わせて動き出せることは、当社の特徴だと考えています。二社とも私が代表を務めているからこそ、意思決定の早さを事業の進め方に反映できています。
QUESTION 05
どのようなお客様に選ばれていますか?
携帯販売と清掃では、どのようなお客様から依頼を受けているのでしょうか。
Out Numberでは、携帯を販売する代理店との取引が中心です。auやソフトバンクの代理店、同じような事業を行う会社などから依頼を受けています。特に、法人携帯ではなく、コンシューマー向けの携帯を販売するショップなどに人員をアサインしています。販売の現場に必要な人をつなぐことが、主な役割です。
x-factorの清掃事業は、BtoBの依頼が9割、BtoCが1割ほどです。依頼先は、ハウスメーカー、工務店、不動産会社、管理会社などです。退去修繕やクリーニング、エアコン洗浄など、建物や入居に関わる仕事を依頼されています。お客様のもとへ実際に行き、清掃やクリーニングを行うため、企業からの継続的な依頼にも対応しています。
QUESTION 06
一番印象に残っている仕事を教えてください。
清掃事業で、特に印象に残っている現場や経験を教えてください。
特に印象に残っているのは、清掃事業で若いメンバーが現場を担っていることです。既存の清掃業者には年齢層が高い方も多く、平均で60代、70代の方が仕事をしている業界だと感じていました。一方、当社のメンバーは平均年齢が30歳ぐらいです。清掃は誰がやっても同じと思われがちですが、実際には質を保ちながら、依頼された数にも対応しなければなりません。
不動産会社や管理会社からは、「明日から入居があるので、明日までに対応してほしい」という依頼が来ることがあります。そこで当社は、今日お願いされて明日行けるような対応を目指しています。もちろん、早く行くだけではなく、研修を行い、質も担保します。数をこなしながら品質を保ち、急な依頼にも応える。この組み合わせによって、クライアントから信頼してもらえているのではないかと考えています。
QUESTION 07
営業未経験者の適性を、どう見いだしましたか?
営業未経験のメンバーに、営業の適性を感じた場面はどこでしたか。
営業未経験のメンバーに営業を任せたのは、明るくてよく笑い、愛嬌がある人だったからです。本人には「営業をしてみないか。一緒に取りに行こう」と伝えました。営業経験がないことを、最初から不利だとは考えませんでした。むしろ、経験がないからこその素直さや、相手の言葉をそのまま受け止める姿勢に可能性を感じました。
そのメンバーは、相手から「後から電話する」と言われたとき、本当に電話が来ると信じていました。営業経験者なら断り文句と受け止める場面でも、本人は素直に受け止め、実際に後から連絡をもらってアポイントにつなげていました。結果として、毎月2、3件の新規を取っています。経験や知識だけで判断せず、素直さと愛嬌を適性として見いだせたことは、私にとっても大きな学びでした。
QUESTION 08
今後のビジョンを教えてください。
二つの会社を、これからどのように発展させていきたいのでしょうか。
x-factorでは、住宅にまつわる事業の延長として、賃貸管理を始めることを考えています。清掃の依頼を直接いただくなかで、賃貸管理について相談を受けたことがきっかけです。x-factorには不動産会社出身者が3人いるため、賃貸管理もできるのではないかと考えています。将来的には、管理会社を別会社としてつくることも視野に入れています。
Out Numberについては、人材系の会社として、派遣免許を取得し、派遣会社にしていくことがビジョンです。さらに個人の目標として、私は複数の会社をつくり、それぞれを誰かに社長として運営してもらいたいと考えています。私がいなくても複数の会社が回るように、営業や管理部門を含めて仕組み化する。その先には、家全般から建設まで広げていく構想があります。



