ファクスを送ると、申し込みの返信が次々に届き、床が紙で埋まっていく。そんな経験が、現在の事業の転機となった。父から会社を引き継いだ丸島氏は、文房具店を続けながら、アスクルの代理店事業を大きく育ててきた。いまは、既存の顧客に向けた新たな事業の可能性も見据えている。
QUESTION 01
創業のきっかけを教えてください。
父から会社を引き継いだ経緯を教えてください。
当社は創業者である父が始めた会社で、もともとは町の文房具屋として、小学生や中学生にノート、鉛筆、学校の制服などを販売していました。私は大学卒業後、文房具メーカーに10年勤めた後、実家であるなな文具に入社しました。父から頼まれたことが、会社を引き継ぐきっかけです。
当時は、将来自分が会社を継ぐかどうかを深く考えていたわけではありません。会社員の仕事に大きな不満があったわけでもなく、特に別の仕事をしたいという思いが強かったわけでもありませんでした。ただ、父から「サラリーマンを辞めて、継いでくれないか」と頼まれたので、頼まれたからしょうがないという感覚で実家に戻りました。そこから、父が続けてきた文房具店を引き継ぎ、事業を続けています。
QUESTION 02
御社はどのような会社ですか?
現在の事業内容を、具体的に教えてください。
当社は、父から引き継いだ文房具店を続けながら、アスクルの代理店事業を中心に展開しています。店頭では小学生や中学生向けにノートや鉛筆などを販売し、法人向けにはアスクルの商品を取り扱っています。現在は、アスクルの代理店がメインの事業です。
アスクルの代理店事業では、現在およそ3万社のお客さまがいます。売上としては24億円という規模で事業を運営しています。また、月島にある本社ビルでは、不動産の賃貸も行っています。8階建ての自社ビルの一部をワンルームとして貸しており、事業としては、文房具の店頭販売とアスクル、不動産の三つを手がけています。
QUESTION 03
他社との違い・強みは何ですか?
アスクル代理店としての強みは何でしょうか。
強みは、アスクル代理店として積み重ねてきた販売実績です。アスクルの代理店は全国に1500社ありますが、当社の売上順位は15番です。代理店としての順位に応じて、利用できる割引やサービスが変わるため、売上順位15番という実績が、お客さまに提供できるメリットにつながっています。
アスクルの代理店であること自体は、全国に多くの会社があります。そのなかで、当社は販売実績を積み上げてきたことで、代理店としての条件を生かしたサービスを提供できます。単に商品を取り次ぐだけではなく、代理店だからこそ利用できる割引やサービスがあることが、当社を選んでいただく理由の一つだと考えています。
QUESTION 04
どのようなお客様に選ばれていますか?
どのような業種のお客さまに選ばれていますか。
特定の業種に限らず、さまざまな法人のお客さまに利用されています。アスクルの商品は1000万アイテムあり、一般企業向けの商品だけでなく、業種ごとに必要となるものも揃っています。そのため、いろんな業種に合う商品を取り扱っていることが、幅広いお客さまに選ばれる理由です。
例えば飲食店向けには割り箸や皿、コップ、業務用洗剤があります。配送センター向けにはストレッチテープや段ボール、医療関係では治療用のグローブなどを扱っています。このように、業種ごとに必要な商品を選べるため、利用する会社の業種を一つに決めるのは難しいほどです。さらに、アスクルの配送センターは全国15カ所にあり、北海道なら札幌、九州なら福岡のセンターから商品が届きます。東京の当社を窓口にしながら、全国で利用できるサービスになっています。
QUESTION 05
一番印象に残っている仕事を教えてください。
これまでで特に印象に残っている仕事は何ですか。
最も印象に残っているのは、アスクルの代理店事業を立ち上げていった時期です。代理店登録はしていたものの、当初は特に必要性を感じていたわけではありませんでした。しかし、父の会社を引き継いで間もなく30人いた営業マンがお客様を連れて出て行くことになってしまい、アスクル以外に取り組むことが思いつかない状況になってしましました。そこで、1人でチラシを会社のポストに入れるポスティングから始めました。ポスティングは時間がかかる割に効果が少なかったため、次にファックスDMに取り組みました。
企業のファックス番号に、アスクルの無料カタログを案内するチラシを送り、返信で申し込みを受ける方法です。当時は、アスクルの配送センターが東京から大阪、名古屋、福岡へ広がるたびに、その地域へファックスDMを送りました。営業マンがいなかったからこそ、一人で取り組める方法を続けられたのだと思います。やがて申し込みのファックスが次々に届き、ファックス機を3台置いていた事務所の床が、紙だらけになって歩けないぐらいになりました。
感覚的には、これまでに30万社を開拓したと思います。現在残っているお客さまは3万社ほどですが、最初から大きな営業基盤があったわけではありません。売上がなくなった状況で、やることがそれしかなかったから、送り続けるしかありませんでした。お客さまが増え、売上が上がっていくことが、当時の仕事の面白さでした。
QUESTION 06
今後のビジョンを教えてください。
今後、新たに取り組みたいことを教えてください。
今後は、アスクルに続く第2の柱となる新規事業をつくりたいと考えています。当社には3万社のお客さまがいるため、そのお客さまに向けて、何らかの商品やサービスを提供できる事業を、どなたかと組んでつくれればと思っています。これまでにも、福利厚生事業やセキュリティ関連の話をいただいています。
ただ、現時点では、どの事業に取り組むかが決まったわけではありません。アスクルのお客さまは現在も増えており、社内にはエンジニアもいるため、システムは自社開発しています。新規事業を立ち上げることが、採用の面にも関わってくると考えています。文具の事業をさらに突き詰めるのか、福利厚生やセキュリティのような新しい分野に進むのか、自社に向いている新規事業を見極めながら、可能性を探っていきます。



