支払いの期限が迫り、資金を集めなければ従業員への給与や外注費を払えない。そんな局面で、税理士法人ウィレイズは金融機関への資料準備から面談までを急いで進め、融資の着金に間に合わせた。税務顧問を軸に、経理の流れや資金繰りまで支援する同法人。その背景には、代表税理士が友人の誘いを受け、深く考えすぎずに独立へ踏み出した経験がある。
QUESTION 01
創業のきっかけを教えてください。
友人との出会いから独立へ進んだ経緯を教えてください。
私自身は、もともと起業したい、独立したいと考えていたわけではありません。共同代表である前職の同期から「一緒にやりたい」と話をもらい、ビジョンを聞いているうちに楽しそうだと感じました。そこから、あまり深く考えずに「エイヤー」で独立したというのが、創業のきっかけです。創業当初から、スタートアップやベンチャーを中心に支援する現在の方向性は変わっていません。
独立を現実的に考えるようになった背景には、私が新卒で働き始めた時期がコロナ禍の始まったタイミングだったこともあります。通常業務に制限がかかり、ルーティン業務が増えるなかで、友人から独立の話を受けました。その後、独立している先人に話を聞き、感覚値ではありますが「これはいけそうだな」と判断しました。
判断を後押ししたのは、SNSや知り合いを通じて、独立している人に10人ほど、もしくは10人以上話を聞いたことです。私が話を聞いた人たちは、時間の使い方や金銭面を含めて、会社員を続けるより魅力的に見えました。一方で、当時は失敗している人には出会えず、成功している人としか話せていなかったとも振り返っています。
QUESTION 02
どのような事業をされていますか?
税務を中心に、どのような支援を提供しているのでしょうか。
当社は、税務顧問を軸にした六つのサービスを提供しています。具体的には、税務顧問、確定申告、経理代行、資金調達、会社設立、税務調査です。売上の中心は税務顧問で、そこに代表者個人の確定申告や経理代行などを組み合わせます。お客様の状況に応じて、必要な支援を必要なタイミングで提案する形です。
経理代行では、資料がそろっていないスタートアップに対して、資料回収や保管の流れを一から組み立てます。勤怠や給与計算の流れ、会計帳簿に反映されるまでの業務も対象です。場合によっては、社会保険労務士と連携して規定や就業規則を整え、社内の評価制度や報酬設計について相談を受けることもあります。
会社設立では、設立手続きそのものは司法書士と提携して進めます。その後の税務届出だけでなく、事業内容に応じた売上のつくり方や進め方まで相談に乗ることがあります。資金調達では資金繰りを見ながら提案し、税務調査は税務顧問のお客様を中心に、スポット対応も行っています。
QUESTION 03
他社との違い・強みは何ですか?
税務調査、経理の仕組みづくり、若い組織という三つの特徴を教えてください。
強みは大きく三つあります。一つ目は税務調査への対応です。必要資料の準備や税務署とのやり取りを含め、お客様と当社がスムーズにコミュニケーションを取れるように進めます。税務に関する経験を持つ人材もいるため、調査時の対応や交渉を含めて支援できる点を強みと捉えています。
二つ目は、業務フローをゼロから構築する力です。経理代行を単に作業として行うのではなく、お客様ごとの事業や規模に合わせて、資料の流れや承認の統制をオーダーメイドで組み立てます。バックオフィスの業務を実際に支援しているからこそ、個別の状況に合わせて仕組みを設計できます。
三つ目は、組織を構成する人材の若さです。当社はほぼ20代のメンバーで構成されています。若さは弱みに見られる場合もありますが、コミュニケーションやクラウド会計、毎年の税制改正への対応では強みになると考えています。連絡手段もLINE、Chatwork、電話、メールなどを使い分け、細やかなコミュニケーションを心がけています。
QUESTION 04
どのようなお客様に選ばれていますか?
業種や創業段階など、どのようなお客様が多いのでしょうか。
多いのは、サービス業と呼ばれる、原価が大きくなく、人が重要になるビジネスモデルのお客様です。営業代行、コンサルティング、AI関連、人材紹介・仲介、M&Aなどの事業者がいます。士業の方も多い一方、アパレル、製造、飲食、プロ野球選手、サッカー選手、地下アイドルなど、業種や職種は多岐にわたっています。
代表者の年齢層では、20代から30代前半のお客様が半数ほどです。創業期から五期目ぐらいまでのお客様が多く、創業期の会社に寄り添う支援が中心になっています。会社を設立したばかりの段階で、税務だけでなく、経理の流れや資金繰り、管理体制まで相談したいというニーズに対応しています。
事業規模は、個人事業主から法人までさまざまです。売上規模で見ると、三千万円から三億円ほどのお客様がボリューム層です。当社は全国対応を掲げており、場所を問わずオンラインで支援できます。実際には、会いに行ける距離のお客様が多いという実感もありますが、所在地だけで対応を限定しているわけではありません。
QUESTION 05
一番印象に残っている仕事を教えてください。
資金繰りや経理の仕組みづくりで、特に印象に残る事例を教えてください。
印象に残っているのは、資金繰りが厳しくなった会社への融資支援です。キャッシュフロー上の課題は以前から見えていましたが、社長が動き出したのは支払いが迫った時期でした。このままでは従業員の給与や外注費などを払えない可能性があり、黒字倒産につながるおそれもある状況でした。そこで、融資の依頼から着金までを急いで進めました。
企業の概要、今後の計画、過去の実績などを資料にまとめ、銀行の担当者へ送ったうえで、すぐに電話や面談で事情を共有しました。申請から着金までは三週間かからないほどで、支払いに間に合わせることができました。事前に資料を整え、金融機関の担当者と直接やり取りできたことが、スピードにつながったと考えています。
もう一つは、経理業務の仕組みを一から整えた事例です。契約書や請求書などの資料を集めるところから始め、依頼方法や保管方法、フォルダの整理方法を見直しました。特定のフォルダに資料が入ると会計帳簿へ反映される流れをつくり、エクセルで行っていた処理を会計システムへ移行しました。経費精算やクレジットカードとの連携なども含め、業務を自動化する仕組みを整えています。
QUESTION 06
お客様からよくある質問を教えてください。
契約前に、お客様からどのような質問を受けるのでしょうか。
契約前によく聞かれるのは、連絡に使うツールや支援体制、融資の可能性についてです。連絡手段については、基本的にLINEを中心にグループをつくりますが、メールやChatworkにも対応しています。一方、Slackへの対応を尋ねられることもありますが、現状は難しいと伝えています。
- 契約した場合、税理士本人が見てくれますか?
- 担当者が一人付き、その担当者を中心に領収書の提出や帳簿作成を進めます。有資格者が担当に付くかどうかは一律ではありませんが、資金繰りや融資支援、税務調査、申告、節税対策など重要な部分は、税理士と一緒にサポートします。
- 融資はどれぐらい受けられますか?
- 社長や事業主のバックグラウンド、事業の業績、取引先などをヒアリングします。そのうえで、金融機関の担当者に事前に相談し、申請前の段階で融資の実現可能性を確認します。申請してから考えるのではなく、可能性を見極めたうえで進めることを大切にしています。
融資については、申請前にどの程度の可能性があるかを確認できる点を強みとしています。公庫や近隣の信用金庫を中心に、必要に応じて関係のない金融機関とも関係をつくり、お客様と銀行の間に入って交渉します。事前に融資の実現可能性を確認することで、申請後のリスクを抑えながら進められるようにしています。
QUESTION 07
今後のビジョンを教えてください。
今後、どのような組織と支援体制を目指しているのでしょうか。
社内的な目標として、組織を20〜30人ほどにすることを考えています。人数を増やすことだけが目的ではなく、人が2人、3人抜けても回っていく組織をつくりたいと考えています。誰か一人に業務が集中するのではなく、どのメンバーが担当しても、一定のクオリティを保てる体制を整えることが重要です。
税務や会計の単純作業は、今後さらに形が変わっていくと考えています。そのため、作業をこなすだけではなく、社長の相談役になれる人材を多く抱える組織にしたいと思っています。お客様の状況を理解し、税務や会計の数字をもとに、資金繰りや経営について相談できる人材を育てていくことが、内部的なビジョンです。
その体制が実現すれば、顧客満足度も高まり、お客様からの紹介にもつながると考えています。単に支援する会社数を増やすのではなく、品質を高いところで維持しながら、お客様に適切な成果物を提供する。その積み重ねによって、相談役となる人材が育ち、紹介が生まれる循環をつくりたいと考えています。



