独立を決め、AIのプロダクトを一緒に作っていたエンジニアに離れられた。事業の出発点で思わぬつまずきを経験した島本洋佑氏は、その後、知り合いの経営者が手がけるゴルフアパレルの場で、現在の会社のNo.2となる人物と出会う。そこで聞いた人材紹介の仕事をきっかけに、株式会社Kyomeiの事業は動き始めた。いまは、身近な人から幸せにし、その輪を周囲へ広げる組織づくりに取り組んでいる。
QUESTION 01
創業のきっかけを教えてください。
AIプロダクトの計画から人材紹介へ。創業のきっかけを教えてください。
創業時、私はAIのプロダクトを立ち上げて、それを売ろうと考えていました。勤めていた会社を辞める前に、優秀なエンジニアと出会い、二人でアイデアを出しながらシステムを作ったんです。これならいけると思って会社に退職を伝えたのですが、3日後ぐらいにそのエンジニアに離れられました。独立の出発点で、いきなり計画が止まったような状態でした。
特に動けないでいた時、知り合いの経営者がやっていたゴルフアパレルの場に、なぜかモデルとして呼ばれました。そこで同席していたのが、現在の会社のNo.2である勝村でした。話をするなかで、彼が人材紹介をリファラルで回していると知り、「それをうちでそのままやったらいいやん」と、一緒に始めることになりました。営業代行については、私がこれまで新規事業の立ち上げを経験しており、業界や事業モデルが分かっていたことがきっかけです。
QUESTION 02
御社はどのような会社ですか?
人材紹介や営業代行を手がけるKyomeiは、どんな雰囲気の会社なのでしょうか。
株式会社Kyomeiは、私が表現するなら「部活みたいな会社」です。部活は試合や練習の時には雰囲気が引き締まりますが、オフの時はくだらない話をしている。その切り替えを、会社でも大事にしています。事業としては人材紹介を始め、私が新規事業の立ち上げ経験を生かして営業代行も始めました。仕事に向き合う時と、仲間と過ごす時の両方を大切にしています。
メンバーにはサッカー選手や、選手権に出ていた経験を持つ人、高校までサッカーを続けていた人もいます。みんなで飲みに行ったり、旅行に行ったりするのも好きです。私はスポーツを長く続けられなかったことにコンプレックスがあり、一つのことを長く続けるアスリートを本気で尊敬しています。だからこそ、やる時はやるけど、遊ぶ時は遊ぶという、少し暑苦しいくらいの一体感を心地よいものとして育てています。
QUESTION 03
社名『Kyomei』には、どのような由来がありますか?
身近な人から始まる考え方が、社名に込められているのでしょうか。
社名のKyomeiは、「共鳴」から付けました。上場を目指す会社が掲げるような、日本を豊かにする、GDPを上げるといった大きな目標は、私には最初からイメージが湧きませんでした。まず思い浮かんだのは、友達や妻、家族、一緒に仕事をした社長さんなど、周りの人を幸せにしたいということでした。
ただ、周りだけでは規模として大きくなりません。私たちと関わることで身近な人が幸せになり、その人からさらに周りの人へ紹介が生まれていく。そうやって輪が広がるイメージに、共鳴という言葉が重なりました。売上が伸びるほど共鳴の輪も大きくなり、結果として日本に貢献できるのではないか。大きなことを先に掲げるのではなく、身近な幸せがつながっていく考え方を、社名に込めています。
QUESTION 04
他社との違い・強みは何ですか?
部活のような組織文化は、仕事の進め方にどう生きているのでしょうか。
仕事の面での強みは、私は適応能力だと思っています。業務委託のメンバーを営業現場に入れると、最初は成果が出ないことがあります。スクリプトを渡して「これを伝えて」と言うだけでは、アポイントは取れません。どう話し、どこで間を空け、相手にどう思ってほしいからその言い方をするのかまで伝える必要があります。取れる人が、まだ取れていない人に教えることが成果につながります。
そのため、私たちの現場では、最初は必ず私が現場に入ります。商材や売り方、キーポイント、どのようなマインドで取り組むかを私自身が理解し、それをメンバーに落とし込みます。間に教える人がいることで、現場への適応も成果が出るまでの時間も早くなる。未経験者が成果を出せるようになるまでの目安は、早くて1週間、遅くて2〜3週間ほどです。アスリートのメンバーについては、コミュニケーション能力や人柄が、BtoCの営業で生きていると感じています。
QUESTION 05
アスリートのセカンドキャリアの課題は何ですか?
競技を離れた後の選択で、アスリートが直面する課題は何でしょうか。
課題は、選択の幅と、働くことに関する知識の量だと思います。サッカー選手の場合、スポンサーの会社にそのまま入るケースもあると聞きますが、それでは選択肢が狭くなります。もともとプロを目指していた選手が、契約満了や戦力外通告によって、いきなり社会に出ることもあります。私はスポーツを続けられませんでしたが、選手たちは一つのことを長く続けている。それなのに社会で活躍できない人が多いことが、悔しいと感じています。
もう一つは、会社や仕事についての情報が不足していることです。その会社がどの業界にいて、どのような仕事や働き方があり、将来どのくらいの年収を目指せるのか。そうしたことが分からないままでは、良い選択をするための材料がありません。知らないものは、そもそも取りに行かないからです。私にできるのはビジネスや営業の分野を伝えることなので、競技で培ったものを持つ人が、別の場所でも成長できるように一緒に取り組みたいと考えています。
QUESTION 06
アスリート採用で、一番印象に残っていることは何ですか?
初めて営業現場に立ったアスリートの姿で、特に印象に残ったことは何ですか?
一番印象に残っているのは、最初に現場へ入る時のロープレです。速水(株式会社Kyomeiの従業員で元アスリート)が、初めて声を出すタイミングで、いきなり一番大きな声を出しました。初めての現場では、遠慮して声を出せないこともあります。私も、もう一人も営業経験がありましたが、速水は私たちより大きな声で最初の一歩を踏み出しました。その瞬間に、こいつやっぱりいいなと思いました。
アスリートは、これまでに挑戦してきた数が多いのだと思います。だから一歩目が早く、むちゃくちゃ素直なところがある。速水も、スポーツ選手としての考え方や、体の整え方、けがをした時のメンタルについて話してくれました。私は「これは自分にはできない」と思うほど尊敬しました。新しい仕事でも、挑戦を重ねて経験が増えれば、成果が出て、自信につながる。その循環によって、半端なく伸びる可能性を感じています。
QUESTION 07
今後のビジョンを教えてください。
身近な人の幸せを広げるために、今後どんな会社を目指していくのでしょうか。
短期的には、2期目で売上3億円を達成したいと掲げています。長期では、会社自体をホールディングス化したいです。会社をやりたい、このくらい稼ぎたい、こういう夢を追いたいという人たちを自分の下に集めて教え、グループ会社の代表にしていく。私自身、学生の時に社長になりたいと思っても、何をすればよいか分からず、教えてくれる人もいませんでした。だから今度は、私が教えられる側になりたいと考えています。
Kyomeiホールディングスのような器の下に複数の会社をつなげ、人材やプロダクト、不動産、金融など、いろいろな事業を展開したいです。転職や保険、資産形成、独立支援など、関わる人の希望に伴走できる事業も考えています。さらに、アスリート採用を強め、学生インターンも受け入れていく方針です。Kyomeiと関わっておけば全部うまくいくと思ってもらえる状態を、40歳までに作りたい。35歳で父の会社を継ぐ予定もありますが、それとは別に、関わってくれた人を会社全体で幸せにすることを目指します。



